単焦点がズームレンズより画質がいい理由 フレアとゴースト

単焦点レンズがズームレンズより画質がいい理由

単焦点レンズはズームレンズよりも写りがいいので、画質にこだわるのなら単焦点レンズを購入することをお薦めします。単焦点レンズがズームレンズよりも写りがいいのは、いくつかの理由があります。まず、単焦点レンズが写りがいいと言われるのは、唯一の画角のみに最適化されたレンズ設計ができるからです。50mmレンズなら、50mmの画角に最適化されたレンズ設計ができます。これで、ズームレンズによくあるレベルの歪みのない写真が撮れます。

単焦点レンズがズームレンズより写りがいいとよく分かるのは、レンズフードによる写りの違いです。レンズフードを付けないで撮ると、フレア(ベーリング・グレア)とゴーストが起きた写真が撮れてしまいます。フレアは太陽の光などがレンズで反射して光の色が被ってしまう現象で、逆行時に直接光がレンズに射し込むことで、白っぽいもやが出てしまいます。実際にフレアによって起こった現象が、ハレーションです。

フレアのハレーションが起こると、画面が白っぽくなりコントラストが大幅に低下して、シャープネスや彩度も失われて、まるでエントリーコンデジで撮ったような写真さえ撮れることがあります。APS-Cサイズ以上の大型撮像素子の一眼レフやレンズ一体型で、風景写真がコンデジと変わらないとか、あるいはコンデジよりも画質が悪いと言われる時は、このフレアが原因になっていることがあります。

ゴーストは太陽などの光が形の光線となってはっきりと見えるもので、レンズの絞りの形状が出ることもあります。ゴーストは、光が差し込む状況を意図的な写真表現で使うこともあります。山から差し込む光線状況をゴーストで表現した写真などです。ですが、ゴーストも基本的に撮影写真から除外したい光線です。フレアの場合も写真を柔らかくふんわりする目的で使う以外でフレアが強く起こってしまうと、その写真の魅力がかなり大きく低下します。

単焦点レンズにレンズフードを付けると、このフレアとゴーストを有効に除外することができてクリアな画像が得られます。photographを見ても、photoは光でgraphは記録で写真という意味です。写真には、光を記録するものという意味があります。光の芸術と言われる写真で、光を濁りなく記録するためには、フレアで起こるハレーションやゴーストは意図的な撮影手法以外では除去したいものです。

写真家の高山正隆(1895-1981)がヴェスト・ポケット・コダックカメラのレンズフードを外して、ソフトフォーカスを狙った描写のベス単フードはずしで、ベス単派と言われていたことがあります。こういう光の滲みまで意図的に操る場合には、レンズフードが不要になることもありますが、これは上級者やプロ向けの撮影技法です。他のレンズフードが不要な時は、内臓フラッシュではレンズフードの干渉でのケラれの問題もあります。

ズームレンズのレンズフードは広角側の画角で設計されているため、ズームをするとレンズフードでフレアのハレーションとゴーストの除去ができません。ズームレンズのフードはフレアとゴーストの除去というより、レンズの保護で小雨を防ぐ時などに使っているようなものです。ズームレンズでフレアとゴーストをレンズフードで除去しようと思ったら、常に広角側で使わないといけなくなって、ズームレンズの意味がなくなります。ズームレンズでレンズフードを付けているのにフレアで白っぽい写真になるのは、ズームをするとレンズフードの役目が果たせなくなるからです。

単焦点レンズは画角に最適化されたレンズ設計と、写真にとって有害となる光線のフレアとゴーストを効率よく除去できるので、APS-C以上の大型撮像素子の機種の本領が発揮できるのが単焦点レンズです。単焦点レンズでレンズフードを使えば、コンデジとは大幅に違った風景写真も撮れます。逆に言えば、35mm一眼レフを使ってもフレアが防げないズームレンズを使っていると、35mm一眼レフで得られるクリアな写真が撮れないことになります。

もちろん、単焦点レンズは明るいレンズが多く被写界深度の表現が大きく広がるので、それでズームレンズよりも幅のある写真が撮れる利点も大きいです。レンズ交換式の一眼レフや一眼がコンデジよりも画質がいいと言われるのは撮像素子の大きさはもちろん、単焦点レンズでのレンズフード撮影で手軽にフレアとゴーストを除去できることもあります。レンズフードの内面の反射処理に問題があると、フードを付けているはずが逆に画質が下がることもあります。

コンデジが一眼レフを超える時 訴える力のある良い写真とはに、コンデジでも訴える力のある写真が撮れることを書いています。スマホとコンデジの画質と決定的な違いに、スマホとコンデジのことを書いています。

単焦点がズームレンズより画質がいい理由とフレアとゴーストに、レンズのことを書いています。コントラストを下げて撮影したほうがいいことなどをデジカメのダイナミックレンジ ラチチュードを拡大でお薦め設定に、書いています。コンデジのフルマニュアル撮影とオート機能との違いに、マニュアル撮影の利点を書いています。日の丸構図は悪くないも書いています。関連記事は下にあります。


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