グローバルシャッターとローリングシャッター現象の違いと比較

グローバルシャッターとローリングシャッター

デジカメの撮影表現がさらに大きく向上するグローバルシャッターのことを書いています。グローバルシャッターも電子シャッターですが、電子シャッターの欠点を克服して改善したものです。

電子シャッターはメカニカルシャッターと違って撮像素子だけのシャッターの仕組みを持つもので、フォーカルプレーンシャッターの機械式の物理的な先幕(さきまく)と後幕(あとまく)がありません。グローバルシャッター以前のCMOSのイメージセンサーは端から順々の露光読み取りで、全画素の一括露光読み出しができません。

そのため、全画素の情報取得に時間がかかるので、動体撮影で被写体が歪むローリングシャッター現象が起きます。この現象を防ぐために、動体撮影時には、フォーカルプレーンシャッターのメカシャッターが撮像素子を遮光しています。

センサーで全画素の同時露光ができるグローバルシャッターでは、動体撮影でもローリングシャッター現象の歪みがなく被写体が捉えられます。正確には、フォーカルプレーンシャッターのメカシャッターの幕走行でも動体歪みはありますが、ローリングシャッター現象で問題になることはないです。

グローバルシャッターは、メカシャッターでも正確には生じている動体歪みと同じレベルにまで持っていって問題になっている動体歪みを抑えることができます。グローバルシャッターも電子シャッターなので、メカシャッターと比べた利点が重なっています。グローバルシャッターは、CMOSセンサーでの同時露光を可能にして、従来の電子シャッターを大幅に乗り越えるものです。

グローバルシャッターでは、高画素化して画素サイズが小さくなった機種で問題になるメカシャッター機構ブレの問題がなくなって、静音撮影が当然にできて、メカシャッターでは生じるシャッターユニットの耐久性の限界数値を大きく超えることもできます。

ミラーレス機であっても、メカシャッターでは機構ブレによるシャッターショックがあるので、解像度の低下につながります。その問題までなくなるのがグローバルシャッターです。

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メカシャッターレス機になるグローバルシャッターでは、メカシャッター用の部品が必要ないのでボディを小型化でき、1/12万8000秒の超高速シャッタースピードも実現できます。

グローバルシャッターではメカシャッターのシャッターチャージほどの電力消費がないのでバッテリーの持ちがよくなり、ストロボ同調速度の制限の問題もなくなります。グローバルシャッターに最新の画像処理エンジンの大幅の改善で秒間コマ速が飛躍的に向上して、連写性能の240コマ/秒も実現できます。

240コマ/秒はその機種の最大画素数で記録できるので、5億画素あったとしても画素素を削ることなく、5億画素数で240コマ/秒で記録できます。動画撮影を連写代わりにしようとしても、動画連写の問題は最大記録画素数から画素数が差し引かれるので、その機種の性能が十分に発揮できません。

4Kフォトと4K動画 静止画連写との違いと動画写真の台頭?にも書きましたが、グローバルシャッターの実現によって、動画連写の価値は大きく下がると思います。

グローバルシャッターの実現で最も問題なのは、35mmフルサイズの撮像素子での実現です。35mmフルサイズでもグローバルシャッターが実現できた時に、本当にフィルム時代からデジカメ時代に切り替わったと言えると思います。

それだけ、デジタルスチルカメラにとってグローバルシャッターが大切で、グローバルシャッターに本当に到達した時には、カメラのシャッター機能の改善の一つの終点になります。

さらには、35mm判相当以上の中判相当センサーでもグローバルシャッターは実現され、大判相当センサーでも実現されます。グローバルシャッターの欠点としても言われるのが、機械式のメカシャッターで起きるシャッター音がしないことです。

特に、女性ポートレートでテンポよく撮影する時には、機械式のシャッター音がリズムになるからです。グローバルシャッターは電子シャッターの改善であって電子シャッターであることには変わりないので、静音撮影が利点です。

しかし、そのシャッター音がしない利点が、機械式シャッターでのリズム音での撮影時の利点でもあることを削いでいるのです。これが、グローバルシャッターのデメリットにもなります。静かな室内での撮影にはグローバルシャッターは向いていますが、スタジオ撮影などでシャッター音でリズムよく撮影する時には向いていません。

これを考えると、機械式シャッター音のリズム音で女性ポートレートを撮影したいなどの需要が一定数ある限りは、メカシャッター機の一眼レフはなくなることはないと思います。ローリングシャッター現象は電子シャッターだけで起こるものというのは間違いで、フォーカルプレーンシャッターも順次露光なのでローリングシャッター現象が起きていますが、幕速が速いので実用レベルではほとんど気になりません。

そして、そもそも、写真でローリングシャッター現象が絶対悪なのかという疑問もあります。動体撮影が歪んで撮れるわけですが、それも写真が生み出す1つの表現と考えて、ローリング現象写真として発表することもできます。意図しない動体歪みが問題で、意図した歪み写真なら、それも表現になります。

写真は広角レンズになるほど静物撮影でも被写体が歪むし、魚眼レンズではローリングシャッター現象どころではなく被写体が大きく歪みます。被写体が歪んでいることも写真表現だから、魚眼レンズが使われています。

ローリングシャッター現象はグローバルシャッターでは気になりませんが、電子シャッターで起きた画像を削除することもないと思います。これは、写真に失敗写真と言えるのが果たしてあるのかという問いにもつながることです。

レンズシャッターとフォーカルプレーンシャッターの違いとはも書いています。

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