ピンボケ写真を修正や補正せず写真表現するには
ピンボケ写真も写真表現
ピンボケ写真は失敗写真と決められて、修正や修復、加工が必要で、補正のためのフリーソフトや補正アプリもあります。ピンボケ写真は、被写体が鮮明に、シャープに写ってないから失敗になっています。
鮮明に写す必要があるのは、被写体のピント面です。しかし、ピント面が鮮明に写ってないといけないのでしょうか。ソフトフォーカスは一見すると全体がピンボケ写真のようにも見えますが、ピント面の芯があるのでピンボケとは違います。
ピントとは 点でなく面で合う実像面に、ピント面のことを書いています。
ピンボケ写真は、被写体のどこにもピント面が合っていないことです。ピンボケ写真で問題になるのは、本当にピントを合わせられないからピンボケ写真が多くなりがちなことです。
日の丸構図は悪くないに書いてあることとも重なりますが、ピンボケ写真自体が問題なのではなく、技術的にピンボケ写真を表現できないから問題なのです。
写真表現で、これが絶対正解というものはありません。ピンボケ写真が失敗写真になるのは、写真は記録のためにあるから被写体のピント面が鮮明でなければならないとする写真記録主義があります。
写真が記録のためにあるのはその通りですが、写真は表現のためにもあります。さらには、写真では、記録と表現は絶対的に分離できないものです。その時には記録写真として撮った記念写真でも、時が経つと表現としての意味が大きくなることがあります。
ピンボケ写真を表現にするには、意図的にピンボケ写真を撮ることで、ピンボケ写真の効果を狙うのです。どのような状況で効果的に使えるでしょうか。パソコンは10年前の1月1日の午後11時11分11秒に記した1万文字の文章でも、句読点の場所の寸分の違いもなく逐一全てを記憶しています。
人間側は、その時の文章のたった1行でも句読点の違いもなく覚えているかは分かりません。10年前の記憶は曖昧で、自分が書いた文章でも、それっきりにして放っておいたら丸っきり文章を思い出せないでしょう。
そして、書いた時間が午後11時11分11秒であることも分からないでしょう。人間側の記憶は、パソコン側の記憶にすでに全く勝てないのです。パソコンが辞書の全ての記述を句読点の違いなく覚えるのは当たり前で、検索してすぐに文章を呼び出せます。
記憶面で、人間側は完敗です。さらに、人工知能は、このパソコンの性能を飛躍的に向上したものです。このパソコンの記憶に完敗した人間側を表現するため、ピンボケ写真を使うことができます。
技術的に、意図的なピンボケ写真はMF機能で撮れます。MFでは、どの被写体にピント面が合っていなくてもシャッターは切れます。MFでレンズの開放F値にして最短撮影距離にして、被写体を最短撮影距離から離した位置に置いて撮ると、ピンボケ写真が分かりやすくが撮れます。
さらに、ズームレンズなら望遠側にするとピンボケ効果が出てきて、広角側にするとピンボケ効果が弱まります。これで、ロボットよりも記憶が曖昧で、まさにピンボケした人間側の記憶能力をあらわすために、人間側をピンボケして撮ります。そして、ロボットはピント面をきっちり合わせて鮮明に写します。
そうやって組写真にすれば、ロボットがピンボケ人間側を操縦するという意味を込めた近未来像の写真にもできます。写真の表現上は、写した被写体のピント面がきっちり写ってなくても、それでも一つの写真表現になるのです。
あるいは、その場の雰囲気だけを、空気を撮るために、意図的にピンボケ写真を撮ってもいいと思います。日の丸構図は悪くないに書いたこととも通じますが、ピンボケ写真を写真表現に使うのは、それより上級者向けの写真表現です。
曖昧な記憶は全くシャープではないので、ピンボケ写真を修正せずに使えるし、分かっているのに、実は、分かりそうで分からないことばかりであることをピンボケ写真で表現したりできます。
ソフトフォーカスとピンボケ写真の併用はできます。先のロボットの例では、ロボットの未来ははっきりしないが記憶では完全優位なのでロボットにはピント面の芯があるソフトフォーカスを使い、人間側にはピンボケ写真を使って、これからの未来あるロボットの表現もできます。
ピンボケ写真効果は、MFでのフォーカスリングの調整、最短撮影距離からの被写体の距離の調整、ズームレンズなら焦点距離の調整、レンズの絞り値も調整して、効果を変えることができます。
そのように、ピンボケ写真を写真技術を使って意図的に表現するので、間違ってピンボケ写真になったのとは違ってきます。ピンボケ写真表現は、写真表現にそもそも失敗写真が存在するのか?という問いでもあります。商業上の失敗写真はあっても、写真表現上の失敗写真はあるのか?という問いです。
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