ピントとは 点でなく面で合う実像面

ピントは点ではなく面で合う

ピントは点ではなく面で合いますが、ピントが合っているのは被写体の中の1点だけと思われていることもあります。ピントというと、ピント点のように思われているのです。オランダ語のbrandpuntのブランドピュントが省略されて、ピントになったと言われています。ピントは外国語の発音を簡略化したもので意味がある訳語ではないにも関わらずに、今でも写真の世界でピントと言われ続けています。

それに加えて、意味も考えた英語のfocusの訳語としては、焦点が当てられています。この焦点はレンズ用語の焦点距離の意味でも使われていますが、ピントの意味でも使われているので余計に混乱しています。ピントに加えて焦点と聞くと、さらに、ピントは点でしか合わないという印象を与えてしまっています。

カメラのレンズには結像点はあっても、実像面があるので、ピントは面で合うのです。ピントは一つの平面上で合うものですが、実際にはレンズには収差があるので、ピント面は完全な1つの平面にはならずに厳密には湾曲しています。像面歪曲収差の補正に優れたマクロレンズなら、ピント面の平面性に優れています。

平面の撮像面では合焦面も平面になって、結像位置は像面になっています。レンズの結像点といっても、実際のレンズには収差があるので完全な1点にはなりません。さらには、被写界深度も含めると、ピントは点で合うからはかなり遠くなります。

レンズで合う被写体のピントは一つの平面上であるはずが、その前後にもピントが合っているように見える被写体側の距離の範囲があるのです。それが被写界深度です。実際にピントが撮像面と平行に面で合うのを確かめるには、カメラにあるピーキング機能を使っても分かります。ピーキング機能はピント面の輪郭を色付きで強調する機能なので、ピントが1点ではなく面で合っているのが分かります。

ピントは点ではなく面で合うのを正しく認識するのは、実際に近い名称で認識するといいと思います。ピントはピント点ではなく、ピント面です。点で呼ぶなら、レンズに入った被写体の無数の光が結像した結果にできる実像を考えると、光による実像点の集まりで写真になっています。連続した実像点であることを考えると、連続実像点です。

その連続した実像点で平面上の実像を作っているので、連続実像面です。さらに正確に言うと、連続平行実像面が最も近いと思います。ピントが合っているというのは、連続平行実像面の状態のことです。そして、本来の意味では連続平行実像面であることを認識して、呼びやすいように、実像面と言ったり、その認識をするのです。

このように正確な状態で認識すると、ピント点や焦点の印象から続くピントは面ではなく点で合うという間違いを正すことができます。実像面であることを理解するかしないかで、明るいレンズでのボケ味を生かす時に違いが出てきます。実像面の平行の被写体と同じ位置にある全てにピントが合っているので、実像点が連続して被写体に合っている面の状態になっています。

これで、女性のポートレート撮影での開放F値がF1.2やF1.4のレンズを使う時などでも、面を生かしたピント調整が生きてきます。撮像面と被写体が水平になるように構えると、面としてのピント調整が生きてきます。ピント面はレンズの前と後ろに2つありますが、撮影ではレンズの後ろのピント面を使います。被写体側から見ても、点で合う被写体点ではなく、被写体面になっています。

ただし、特殊なアオリレンズでは、ピントが平行な面では合わなくなる例外もあります。ピントが点で合うと思い込んでしまうのは、AFが当たり前になったAF時代の功罪でもあります。MFでのピント合わせでピーキング機能も併用すると、AFでの自動のピント合わせで点で合う感覚とは違って、ピントが面で合っている実感を得ることもできます。

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