コンデジ フルマニュアル撮影 コンパクトデジカメ オートと違い
コンデジのフルマニュアル撮影
コンパクトデジカメでも、マニュアル機能を使ったほうが様々な撮影状況に対応できます。それに、オート機の場合には、そもそも撮影自体ができないことがあります。例えば、オート機のAFで青空を撮ろうとすると、AFが合わないことがよくあります。
これは、AF機が、同じような明るさや、コントラストが低く、濃淡がなくのっぺりとした被写体に、AFを合わせることができないからです。マニュアル機能があるコンデジでは、そのような被写体でも撮影することができます。AFで合わない青空などを撮る時には、マニュアルフォーカスで無限遠にすると撮ることができます。
他にも、AFのオートフォーカスで木の枝に止まった野鳥を望遠で撮ろうとしても野鳥にピントが合わずに、木の枝にピントが合って野鳥が撮れないことなどもあります。この時にも、MFのマニュアルフォーカスで野鳥にピントを合わせて撮ることもできます。
オート機の場合には、写真の明るさを調節する露出にも制限があります。多くのコンデジでは、露出補正が±2段までしかできません。1段でシャッタスピードが2倍になるので、2段はシャッタースピードが4倍になります。シャッタースピードを上げて高速側に行くほど、明るさを抑えた写真に近づけることもできます。
レンズ一体型の機種でも高級コンパクトのプレミアムコンパクトと呼ばれる機種や、ネオ一眼と呼ばれる高倍率の望遠機には、±3段の露出補正ができるものがあります。レンズ交換式の中級機以上では、±5段もの露出補正ができます。
レンズ交換式のカメラが表現の幅が広いと言われるのは、露出補正が±5段もできるところにもあらわれています。もちろん、高級コンパクト機が高級と言われるのも、コンデジの中で露出補正に1段の余裕がある機種があるからです。
露出補正はオート機でもできる手軽な機能ですが、撮影者が最適だと思える写真の明るさは撮影者の勘に頼っているので、マニュアル露出をしているのと同じことになります。オート機でもできる露出補正は、カメラ任せにしないで、自分でマニュアル露出をしているのです。自分好みの写真の明るさにできるので、写真ごとに積極的に露出補正をするほうがその写真の撮影者の魅力も引き出せるようになります。
オート機でも、露出補正、ホワイトバランス、ISO感度の各設定ができて、それに様々なシーンモードがあるので、撮影者の意図を反映することができます。撮影者の意図を写真にどれだけ反映できるか、どれだけ反映しやすいか、これがカメラの操作面で最も重要な機能だと思いますが、マニュアル機なら撮影者の意図をそのまま反映して思い描いた写真に仕上げることができます。
コンデジでよくある露出補正が±2段では、困る場面があります。露出オーバー気味のコンデジが多いので、特に黒が画面の多くを占める場合には、マイナス2段の露出補正よりも、もっとマイナス補正をしたい場合もあります。黒をそのままの黒で写したいと思っても、カメラの適正露出に合わせると黒が明るくなりすぎて、締まりのない黒になりがちです。
このような場合には、コンデジの±2段の露出補正のオート機ではどうすることもできません。もっと黒を強くしたいと思ったら、撮影した画像を後でレタッチするしかないです。このような場合に、マニュアル機能があるコンデジの性能が生きてきます。
被写体に、黒が画面全体を占める写真を撮るとします。具体的な例では、黒の服を画面全体に撮りたい場合です。その時にカメラ任せで撮ると、その黒は黒のままでは撮れずに明るくなりすぎます。マイナス補正の下限まで補正しても黒が望みどおりに撮れないのなら、マニュアル撮影に切り替えて、液晶画面で黒の色を確認しながら撮影します。
メーカーによっても実際にどのくらいの明るさの写真に仕上げるかの実効感度が違うので、露出オーバー気味に写ることが前提になっていることもあります。その時には、黒の被写体ならかなりマイナスの露出補正をしないと明るく写りすぎて、コンデジのマイナス2までの露出補正では足りなくなります。
デジカメの写真の明るさを決める露出は、レンズの絞りとシャッタースピードとISO感度の3つの組み合わせで決まります。レンズの絞りとISO感度を固定にしておけば、あとは、シャッタースピードを調節すれば写真の明るさの露出を変えることができます。
レンズの絞りは開放F値にするとして、ISO感度は最も低感度が画質がいいのでISO100やISO80などのその機種の最低感度に固定して、シャッタースピードを上げて高速側にするほど、写真が暗く写ります。シャッタスピードは高速側が暗くなって、低速側が明るく写ります。
あとは、滝が流麗に流れる様を写したい時などにも、シャッタースピードを調節しないとできません。シャッタースピードで自由に時間をコントロールすることで、オート機ではできない、撮影者が時間を意のままに操った写真を撮ることができます。
高級コンパクトやネオ一眼と言われるレンズ一体型機の中では、1/4000秒のシャッタースピードが使えます。コンデジはレンズシャッターなので、開放F値では1/4000秒は使えません。それでも、レンズを絞れば1/4000秒が使えるので、このこともマニュアル機のレンズ一体型の写真表現の幅の広さにつながります。
レンズ一体型の撮像素子が小さいコンデジでは、回折現象(かいせつげんしょう。あるレンズの絞り値を境に、画像の解像度が落ちて、描写が甘くなる現象)によって、レンズの絞り値のF5.6くらいから描写が甘くなる傾向があります。コンデジでも、積極的にマニュアル撮影を使えば写真表現の幅が大きく広がります。
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