キヤノン EOS 70D レビュー 比較と評価
キヤノン EOS 70D
前機種の60Dの後継機のキヤノンのEOS 70Dは、60Dからかなり進化した機種になっています。60Dが発売されたのが2010年9月18日で、70Dの発売日が2013年8月29日です。およそ3年の間、60Dは現役のままでした。デジカメになってすぐに後継機が出てくると言われるのはレンズ一体型機の安価な機種やキヤノンで言えばKissシリーズで、レンズ交換式は60Dから70Dのように現役の期間が3年くらいの機種もあります。60Dから70Dまでを考えると70Dの後継機も3年くらいは出ないので、70Dも長く愛用できる機種です。
後継機が次々に出る機種を買うと、また後継機を買い足して、結局70Dを買うよりも高くついてしまいます。Kissシリーズのほうが価格は安いですが、そのKissシリーズの後継機を買っていくと70Dを一台買うほうが安くなります。70Dは、発売から3年くらいの2016年くらいまでは現役で使える性能を持っていると言える機種になっています。
キヤノンのEOS 70Dが60Dから大きく進化したのは、デュアルピクセルCMOS AFと言われています。それは確かにそうなのですが、デュアルピクセルCMOS AFは60Dからの進化という限定された狭い世界のことよりも、デジカメ全体を大きく底上げする機能と言えるほどの性能を持っています。デュアルピクセルCMOS AFで、デジカメは新時代に突入したことを実感しました。
EOS 70DのデュアルピクセルCMOS AFでは、1画素ごとにフォトダイオードが独立して2つの構成になっていて、撮像面位相差AFの高速AFが使えます。このデュアルピクセルCMOS AFでデジカメの新時代に突入したのは、デュアルピクセルCMOS AFが背面液晶で使う機能だからです。デュアルピクセルCMOS AFは液晶モニターのライブビューと動画機能の向上のために作られていて、液晶モニターを使うことを前提にしています。一眼レフのキヤノンが液晶モニターでの撮影を重視して、そのためのデュアルピクセルCMOS AFを大きく宣伝しているのは、光学ファインダーでの撮影の物理的限界をあらわしている事例でもあります。
デュアルピクセルCMOS AFは、光学ファインダーではなく電子ビューファインダーにしたら、ファインダーでも背面液晶でも使えることになります。デュアルピクセルCMOS AFであっても光学ファインダーの一眼レフにするところに、一眼レフでニコンと世界を牽引してきたキヤノンの姿勢が出ています。ただ、一眼レフを牽引してきたキヤノンであっても背面液晶での撮影を重視するところを見ると、今後のデジカメでのEVFの存在がさらに重視されるようになると思いますし、キヤノンのEOS 70Dはその端緒になる一眼レフになっています(一眼レフから光学ファインダーはなくなる?35mm判の原点回帰)。
ライブビューと動画重視にキヤノンが舵を切ったのがEOS 70Dですが、本当に危ないジャンルはビデオカメラです。70DのフルHD動画で撮った動画は、ビデオカメラの動画とはレベルが違う別次元なのです。ビデオカメラは10万円以上もして高価でも、70Dより圧倒的に撮像素子が小さく、撮れる動画は従来からよくある動く動画です。70DのフルHD動画は従来の動く動画というより、「写真が動いている」と形容したほうがいい作品的動画が撮れます。もちろん、レンズを交換して撮るとビデオカメラよりも芸術的な作品も撮れます。ビデオカメラは画質ではもう一眼レフや一眼の動画には勝てなくなっているので、手軽さで勝負している有様です。
そのEOS 70Dでの液晶モニターで、タッチパネルを使ってのタッチシャッターも使えます。70Dのバリアングル液晶モニターは裏返しにできるので、ファインダーを覗く時のモニターの汚れや、液晶モニターも保護もできます。Wi-Fiの接続での写真の転送やリモート撮影などを見ても、スマホの利点を70Dに取り入れているのは、2010年発売の60Dの頃に比べると急速にスマホが普及した時代の流れを感じさせます。そういう意味で、キヤノンの70Dはスマホから一眼レフを使ってみたい人にとってもお薦めできる機種です。60Dよりも連写性能も改善しているので、連写を60Dよりさらに使いたい人にも70Dは使えます。
EOS 70Dで気になる画質ですが、70Dの画像エンジンは60DのDIGIC4からDIGIC5+に刷新されています。約3年前のモデルの60Dよりも70Dの高感度ノイズは改善されているのは当然ですが、どのくらいの高感度に強くなったのかが気になるところです。APS-Cサイズ以上の大型撮像素子の機種を使う意味はクリアな画像が得られることが大きな魅力なので、そのレベルで行けば、70DのISO6400のノイズが気になります。ノイズは結局のところ撮影者の見方によって違いますが、個人的には70DのISO6400はあまり使いたくないと思いました。
もちろん、コンデジの高感度ノイズのレベルで行けば、70DのISO6400のノイズの少なさに感動すると思います。コンデジの場合には低感度で撮影してもノイズが乗っているので、70Dはそのコンデジのレベルとは比べ物になりません。画質はどの位置から見るかで大きく変わってくるのですが、APS-Cサイズ以上のクリアな画像のレベルに合わせれば、70DのISO6400の暗部に出たノイズを見るとクリアとは言えないと思っています。70Dは、UHS-I規格に対応しているSDHCとSDXCメモリーカードが使えます。
EOS 70Dで特に気になる欠点は、バッテリーの持ちです。光学ファインダーで常温で使うとCIPA基準で約920枚も持つので本当に安心して撮影できますが、問題なのはライブビュー撮影です。70Dは、ライブビュー撮影ではCIPA基準で常温でも約210枚しか持ちません。デュアルピクセルCMOS AFはライブビュー性能を大きく改善したのに、約210枚しか持たないのではエントリーコンデジ並の撮影枚数でしかありません。約210枚の撮影では安心して撮影できませんし、再生画像を見ていたりすると、さらに撮影枚数が減ります。ソニーの一眼のαシリーズはEVFでも背面液晶のライブビューでも、70Dのライブビューより安心のバッテリー撮影枚数です。キヤノンの一眼レフは、ライブビュー撮影でソニーの一眼並のバッテリー撮影枚数を確保してほしいところです。
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