EOS 5D Mark IV レビュー 比較と評価
EOS 5D Mark IV
キヤノンのEOS 5D Mark IVは、2012年3月22日に発売された5D Mark IIIの後継機です。5D Mark IVの有効画素は約3040万画素で、約36.0mm×24.0mmのCMOSです。画素ピッチは5.3μmくらいで、画素面積は28平方μmくらいです。画素ピッチの計算方法とセンサー別の数値の意味に、画素ピッチのことを書いています。
画像処理エンジンはDIGIC 6+でローパスフィルターはあるので、ローパスレスではありません。ローパスフィルターレスのなしとありの決定的な違いを書いています。ファインダー倍率は約0.71倍で、視野率は約100%、アイポイントは約21mmです。視度調整の範囲は約-3.0から+1.0です。ディオプター 眼鏡利用者の裸眼の視度調整に、視度調整のことを書いています。
ファインダーはグリッド表示と水準器表示もできて、インテリジェントビューファインダーIIでファインダー内に情報表示ができます。フォーカシングスクリーンは固定式です。ミラー振動の制御が新しくなって、ファインダー像の消失時間が短縮しています。モニターは縦横比が3対2の3.2型の固定式で、約162万ドットです。
タッチパネル式で、水準器表示もできます。モニターは、被写体を約1.5倍から約10倍に拡大表示ができます。像面位相差AFのデュアルピクセル CMOS AFなので、ライブビューでのAF速度が高速化して、モニターでの静止画と動画撮影が以前より快適になっています。モニターの約80%×約80%の領域でタッチAFが使えます。
モニターでのAF方式は、ライブ多点AF、ライブ1点AF、顔+追尾優先AFの3つがあって、モニターでサーボAFも使えます。モニターの右横に測距エリア選択ボタンが新設されたので、そのボタンで7つの測距エリアから選択できます。モニターの色調が、暖色、標準、寒色1、寒色2から選択できます。常用ISO感度はISO100からISO32000で、1/3と1段ステップで補正できます。
5D Mark IVは、常用ISO感度が32000まで拡大したのが特徴です。特に、暗い照明の体育館でのスポーツ撮影で、激しく動く被写体を高速シャッターで写し止めたい時などに、ISO32000が常用できるので力強い相棒になります。ISO50相当、ISO51200相当、ISO102400の拡張感度が使えます。拡張感度 基準感度 常用感度の画質の違いに、拡張感度のことを書いています。
動画では常用ISO感度は25600まで、4K撮影時には常用ISO感度は12800までです。ISOオート時にシャッタースピードが1/8000秒から1秒まで1段ステップで設定できるので、シャッタースピードの低下防止に使えます。シャッタースピードは1/8000から30秒で、バルブ撮影もできます。記録メディアは、UDMAモード7対応のCFと、UHS-Iカード対応のSDカード系のダブルスロットです。
Eye-Fiカードに対応しています。CFastは使えません。連写性能は、秒間コマ数が最高で約7.0枚/秒、ソフト連続撮影では約3.0枚/秒で、連続撮影枚数はUDMAモード7対応のCFでJPEGラージのファインでカード容量の一杯まで、RAWで約21枚、RAW+JPEGラージのファインで約16枚です。
AFの測距点数は61点で、クロス測距点は41点です。AIサーボAF IIIがあります。AIサーボAFに照明があって、選択したAFフレームを赤色点滅できます。レティクルAF IIはEOS-1D X Mark IIと同じで、5D Mark IIIと同じ測距点数でも、5D Mark IVはAFの被写体捕捉性能が上がっています。5D Mark IVは、61点の測距点と21点のクロス測距のすべての測距点で、F8の測距ができます。
エクステンダーを使ってもAFが作動します。測距エリアの選択に、ゾーンAFと自動選択AFがあります。スポット測光の測距点連動はできません。5D Mark IVは、5D Mark IIIより左右の領域で上下に約24%、中央の領域で約8.6%の測距領域の拡大になっています。露出補正の補正幅は、静止画では±5段で1/3と1/2段ステップで補正できて、動画では±3段で同じ補正ステップです。
動画性能は、4K動画の4096×2160の約30pで撮影できてMOVのMotion JPEGで約500Mbpsで記録できます。フルHDではMOVとMP4で記録できて、映像はMPEG-4 AVC/H.264での記録です。音声はMOVはリニアPCM、MP4はAACです。DCI 4Kで30Pの内部記録ができます。4K動画から約880万画素のJPEGの静止画の切り出しができるので、約30コマの中から静止画が選べます。
4Kフォトとは 静止画連写との違いと動画写真が台頭する?に、4Kフォトのことを書いています。HD記録時には、NTSCの119.9fps、PALの100fpsのハイフレームレート動画の撮影ができて、ALL-Iで記録できますが音声記録はできません。タイムプラス動画の記録もできます。白飛びを抑えたHDR動画機能もあります。動画撮影中の静止画撮影はできません。
動画の音声録音は内臓モノラルマイクで行いますが、外部ステレオマイクの端子があります。ヘッドフォン端子もあって、USB3.0端子もあります。JPEG撮影時に1度のシャッターで4枚の画像撮影で、ノイズ低減ができるマルチショットノイズ低減機能がありますが、RAWでは使えません。オートホワイトバランスに、ホワイト優先が追加されています。
5D Mark IVにはデジタルレンズオプティマイザのための専用ICがあるので、カメラ単体でデジタルレンズオプティマイザが使えて、RAWとJPEGに対応しています。5D Mark IVはJPEG撮影時でも、回折現象の補正ができます。EOS-1D X Mark IIではカメラ内RAW現像時にはできてもJPEG撮影時には回折補正はできなかったので、5D Mark IVはJPEG撮影での作業が速くなっています。
ピクチャースタイルにディテール重視があって、シャープネスの新設定の細かさとしきい値が追加されています。5D Mark IVでも手ブレ補正はレンズ式なので、ボディ内手ブレ補正はないです。RAWは14bitで記録できて、約1690万画素のM-RAW、約750万画素のS-RAWがあります。5D Mark IVは、デュアルピクセルAFを使ったDPRAW(デュアルピクセルRAW)の機能に特徴があります。
DPRAWで記録した場合に限り、DPPで、ボケシフト、ゴースト低減、解像感の補正の3つが後処理できるようになっています。カメラ内RAW現像は、もちろんできます。AFの検出輝度範囲は、中央のF2.8の測距点で-3から18、ライブビュー撮影時には-4です。ライブビューを使うと、さらに暗所でAF撮影ができます。
露出制御の測光方式は、約15万画素RGBとIR測光センサーの252分割です。内臓フラッシュはないです。ストロボの同調最高シャッター速度は1/200秒です。シャッターユニットの耐久性は、15万回です。ボディの前後面と上面に加えて、底面もマグネシウム合金製になっています。氷点下では、動作環境外です。Wi-Fiが内臓して、スマホからも操作できます。
GPSも内臓式で、GPS、GLONASS、みちびきのGPS信号が使えます。近距離無線通信のNFC機能があるので、Connect Station CS100がNFCで使えます。バッテリーのLP-E6Nで、ファインダー撮影で約900枚、ライブビュー撮影で約300枚の撮影枚数です。フリッカーレス撮影もできます。ボディ背面には、スティック状で使えるマルチコントローラーがあります。
EOS 5D Mark IVの本体のみの重さは、約800gです。24-70 F2.8L IIのレンズキットと、24-105 F4L IIのレンズキット、24-70 F4Lのレンズキットがあります。5D Mark IVは発表当時は価格が高いと言われていましたが、5D Mark IIIから約4年半後の発表で、機能面が複数新設されて、5D Mark IIIがそうであったように、写真愛好家と職業写真家の間で広く使われる機種になると思います。
5Dシリーズは写真愛好家の間で広く使われるための機能が搭載されてきましたが、EOS 5D Mark IVにはEOS-1D X Mark IIにもない新機能が追加されています。後継機が出る2020年の東京オリンピックの頃くらいになると、5D Mark Ⅴにはグローバルシャッターが搭載されることになります。グローバルシャッターのことは、グローバルシャッターとローリングシャッターの違いとはに書いています。その後継機の登場まで、5D Mark IVは愛着があって使う愛好家のための機種になるのではないでしょうか。
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