カメラマンとフォトグラファーと写真家の違いと和製英語

カメラマンとフォトグラファーの意味の違い

カメラマンとフォトグラファーの意味の違いを書いています。そのための具体的な例を出すと、東日本放送のKHB制作のドキュメンタリー番組に、『津波を撮ったカメラマン』がありました。この番組は、東日本大震災の経緯をカメラマンが撮ったものでした。番組名だけを見ると、テレビで報道されるからテレビ映像のカメラマンとも限らず、東日本大震災では写真家も多くの写真を残したので、写真家のことかもしれません。

『津波を撮ったカメラマン』という番組名だけでは、東日本大震災での写真家の軌跡を報道するドキュメンタリー番組としても受け取られます。カメラマンには、静止画の写真家と動画のカメラマンの意味がありますが、元々の英語は意味が違います。英語のcameramanには、写真家のphotographerの意味はありません。

cameramanの意味は、テレビや映画などの動く映像である動画撮影をするカメラマンのことです。そのために、本来の英語の意味に合わせると、『津波を撮ったカメラマン』は東日本大震災を撮った動く映像を撮影するカメラマンの意味になって、実際にその通りの番組でした。英語の原義通りにすると、カメラマンは動く映像作家、フォトグラファーは写真家になります。

それでカメラマンとフォトグラファーの意味の違いに結論が出ると、疑問が出てきます。カメラマンとフォトグラファーは和製英語でのカタカナ日本語表記であって、英語ではないからです。和製英語は日本という日本語圏で使うものなので、意味も発音も元の英語とは違います(ただし、英語発音は訛っても通じますが)。カメラマンとフォトグラファーの意味を正確に分ける必要があるのは、英語表記でcameramanとphotographerで使う時です。

例えば、英語圏でも日本語もどきの言葉が使われています。それらの英語圏で使われている日本語もどきの言葉を日本語の原義通りに直さないといけないわけでもなく、その文化圏で独自に使われる言葉に変化しています。それと同じように、和製英語も日本で使われている英語もどきで、発音も独特で日本語英語の言葉になっているので意味も変化しています。

正確に使いたいのなら、ユーチューバーはカメラマンでフォトグラファーではないですが、折衷的カメラマンのユーチューバーはどうなるでしょうか。動画も撮りながら静止画の写真もデジカメで撮影して動画に静止画写真も載せる場合です。カメラマンでありフォトグラファーになります。動画写真家と言ったほうが分かりやすいです。

和製英語でややこしくなるなら、動画作家と写真家で区別したら分かりやすくなります。カメラ雑誌の『カメラマン』は写真界のことで、動画のことではないです。雑誌名にまで和製英語の意味で通っているので、ますます、元の英語の原義通りにすることもないです。静止画の写真を撮る写真家という日本語があるのに、フォトグラファーと呼ばれることもあります。

これはグローバルな視点の写真家であることを強調する意味がありますが、和製英語の曖昧な意味のカタカナ表記よりは、1個の独立して歴史的な意味を持つ写真家と言ったほうが、写真家としての重みがあると思います。今に至る写真家の道への開拓者である下岡蓮杖と上野彦馬は写真師と言われていました。

それから、静止画のほうは写真家と呼ばれてきましたが、動画のカメラマンの意味が写真家のように定着した意味がないので、混乱が続いています。今でも、写真家のことを指してカメラマンとも言いますが、そうではなく、英語の原義通りにカメラマンは動く映像に限定するべきという意見もあります。

日本語もどきが世界の現地語で独自に使われるのを見ても、和製英語も元の英語の原義から離れた意味になっているので、カメラマンの意味を写真家と動画のどちらで使ってもいいと思います。ただし、元の英語の意味を認識しておくに越したことはないです。

職人の意味を込めてカメラマンと言う時には、写真を撮るのだけれどもカメラにも重きを置いている意味でも使われます。カメラマンと写真家の違いは、写真家は写真撮影に重きを置いて、カメラマンは写真家よりはカメラを重視したい時に使われることもあります。

カメラマンとフォトグラファーは職業写真家に限定せず、アマチュア写真家や写真愛好家のことも、カメラマンやフォトグラファーと呼ぶこともあります。より芸術性を帯びた名称に写真作家があって、写真家と美術家の境界線が曖昧になっていることもあります。

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